札幌気象台職員の山本竜也が『地方史のつむぎ方』(尚学社)を刊行した。自らの調査の手法を詳しく説明するだけでなく、地方史の調査・研究に携わる24人にインタビューし、その動機や調査の課程を語ってもらっている。地方史と銘打ちながら、インタビューした相手の分野は多種多様で、通常なら「○○史」「○○文化史」と、その分野の関係者を中心に共有されていくはずの仕事だ。これを「地方史」でひとくくりにして提示し、歴史に向き合う人のアプローチに目を向けたことが、この本のポイントではないか。歴史を調べる、あるいは調べようとする人に必要な技術と心構えの両方を学べる一冊である。道新札幌圏版。
同じ紙面。北海道地域文化選奨に、札幌のどさんこ青少年オーケストラ協会が選ばれた。元中学教師の助乗慎一代表が2013年に設立し、10人で運営している。江別、岩見沢、名寄、旭川、音更にジュニアオーケストラを設立して活動している。
特別賞は千歳市民文芸の会。
道新カルチャー面は、大正期の女性解放運動家伊藤野枝をモデルとする村山由佳の小説をもとにした映画『風よ あらしよ』の柳川強監督。
社会面には、河﨑秋子が受賞した直木賞と芥川賞の贈呈式の話題。〈これからも生き物の命を書いていきたいという志だけは死ぬまで変わらないと思います〉。日本芸術院賞に、筒井康隆や、霧の彫刻で知られる中谷芙二子(札幌出身)が決まったとの記事も。
山本竜也『地方史のつむぎ方』
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