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AtoCジャーナル 2023-12

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2023-12-31

 道新の墓碑銘2023。道内ゆかりの芸術・文化関係者のみ記しておく。林田恒夫(1月11日、タンチョウ写真家)加藤多一(3月18日、児童文学作家)大橋純子(11月9日、歌手)川嶋康男(12月7日、ノンフィクション作家)。国内では、高橋幸宏、辻村寿三郎、松本零士、黒田杏子、大江健三郎、奈良岡朋子、坂本龍一、富岡多恵子、平岩弓枝、野見山暁治、森村誠一、飯守泰次郎、山本二三、市川猿翁、土田よしこ、遠山一、谷村新司、財津一郎、もんたよしのり、KAN、三木卓、伊集院静、山田太一。海外ではジェフ・ベック、バート・バカラック、カルロス・サウラ、ヒュー・ハドソン、ウェイン・ショーター、ハリー・ベラフォンテ、ティナ・ターナー、イリヤ・カバコフ、フランソワーズ・ジロー、アストラッド・ジルベルト、ミラン・クンデラ、ジェーン・バーキン、トニー・ベネット、フェルナンド・ボテロ、ルイーズ・グリュック。海外の文化人比率が高いのが興味深い。
 朝日新聞の「2023年亡くなった方々」では、これに加えて松平頼暁、加賀乙彦、デビッド・クロスビー、永井路子、鮎川誠、山根貞雄、菅野昭正、海野弘、大石悦子、原尞、メナヘム・プレスラー、中島貞夫、栗山昌良、PANTA、外山雄三、ウィリアム・フードキン、ロビー・ロバートソン、西村朗、寺沢武一、櫻井敦司、泉昭二、三浦徳子、チバユウスケ、豊田有恒、西木正明、ライアン・オニールの名前が挙がっていた。
 惜しみつつ、お別れを。

2023-12-30

2023-12-29

 道新カルチャー面の2003年回顧(下)は「藤井聡太 史上初の八冠」「日曜文芸と戦争」「映画界の性加害」「バーメルト わが半生語る」。大正期の映画文化を丹念に調べた前川公美夫大正期北海道映画史』(亜璃西社)の記事。「大正期の映画を軸にした道内の日常や庶民の暮らしが伝わる」と話す。
 特産品シシャモの記録的な不漁にあえぐむかわ町に、「鵡川ししゃも応援団」にもなった女性3人組バンド「SHISHAMO」が応援メッセージを寄せたとの記事。道新社会面。
 高校吹奏楽の名門校、東海大札幌と熊本の玉名女子が25日にKitaraで共演した。札幌地区吹奏楽連盟が企画した。「コロナ禍を経て、生の演奏会から客足が遠のいている」という危機感が背景にある。

2023-12-28

 道新カルチャー面は2023年の年末回顧(上)。お題は「JKT問題(ジャニーズ、歌舞伎、宝塚)」「貧困研究」「TVHのバーチャルマスターオペレーター」「学芸員の仕事」で、振り返りというより担当記者の記憶に残る出来事をピックアップした。同じ紙面で、江別出身の乗代雄介の『それは誠』が織田作之助賞を受賞したとの報。『それは誠』は、書評家豊﨑由美による道新《トヨザキ社長の鮭児書店》で恒例の『鮭児文学賞』も今回受賞していた。
 

2023-12-27

2023-12-26

 文化庁が、国立の文化財修理センター(仮称)を2030年までをめどに京都につくる基本構想を発表した。現在は所有者の責務とされ、主に民間事業者が継承してきた文化財修理を、国が主導的に取り組む。修理推進、調査研究、人材育成、情報発信を柱とする。実際には国立博物館や文化財研究所の組織を活用するとのことで、センターの具体像はこれから。朝日新聞朝刊社会面。同じ朝日の夕刊で始まった《アートの伴走者》では、東京オペラシティアートギャラリーのチーフ・キュレーター天野太郎が、蔡國強の火薬を使った作品に触れつつ、米国のゲティ保存修復センターの保存修復室長ラッシェル・リヴェンクの仕事を紹介していて、同じ保存修復に関する話題で通じ合っている。

2023-12-25

 朝日新聞夕刊の《with Planet》で、タリバンによる詩人への抑圧に抗議する詩集『詩の檻はない』の話題。運動の提唱者でアフガニスタンの詩人ソマイア・ラミシュが来日した。日本版は旭川の詩人柴田望が取りまとめたと触れている。「新しい時代へと進んでいくために、「あり得ない」「信じられない」と切って捨てるのではなく、同じ時代を生きている誰かが抱える大変な思いを理解しようとする「想像力」が必要だと柴田さんは考えている」

2023-12-24

 知里幸恵アイヌ神謡集』刊行100年と、知里の生誕120年。道新の《記者の視点》は、社会学者中野敏男の言葉を引いて、人権、民族、ジェンダー、階級など複数のカテゴリーを組み合わせて「差別的な秩序を構成して支配しようとする統治方式」であると位置付けた。『アイヌ神謡集』は、そんな当時の社会構造に対してのアイヌ民族の尊厳を打ち立てる宣言であったと。中村康利記者。

2023-12-23

 サタデーどうしんの文化・エンタメ《ステージ》で、札幌座Pit『カフカ経由 シスカ行き』の劇評。札幌座斎藤歩とチェコを拠点とする人形劇師沢則行の新作は見事だったようだ。ウクライナとロシアの戦争、少数民族への抑圧といったテーマ性に、人形を駆使したファンタジー性。「民族の文化への尊厳や想像力への信頼といった斎藤が込めた願いを、沢が見事に視覚化、見ていて胸が熱くなった。北海道が生んだ、現代を射る珠玉の舞台と感じた」。最大級の賛辞が、病と闘う斎藤の力になればと願う。

2023-12-22

 朝日新聞が朝刊文化面で紅白歌合戦と旧ジャニーズの蜜月の歴史を振り返っている。出場回数の推移表が面白い。パッと見では1990年からSMAPが23回、1993年からTOKIOが24回といずれも長期にわたって出場しているのが際立つが、2000年代末までは多くて4組、平均1〜2組であった。むしろ2008年初出場の嵐以降に、4組から5組、そして最大7組とジャニーズならなんでもありの状況になっている。NHKの元職員は「嵐が司会に起用された10年ごろから、ジャニーズとNHKはズブズブの関係だった」と振り返る。断片的な証言を説得力をもって裏付けするから、データはかくも貴重なのである。

2023-12-21

 道新カルチャー面では、2023年の出版界の動向を特集。このうち道内の動きで、編集者の中舘寛隆が「道内の出版各社は厳しさがにじむ1年だった」と総括した。発行上位10社の発行点数の合計は106冊と最盛期の150冊から減少したという。長らく消息が絶えていた響文社の高橋哲雄が6月に亡くなっていたことも伝えられた。筆者とも長く縁があった人だけに無念。

2023-12-20

 道新《水曜討論》は「アイヌ民族への後絶たぬ中傷」がテーマ。北大アイヌ・先住民研究センター教授の北原モコットは、アイヌ民族への直接的な差別に対して、アイヌ民族が過剰な優遇を求めているというような曲解を、新たな差別の形態であり「現代的レイシズム」と呼ばれているという。大阪公立大大学院経済学研究科准教授の明戸隆浩は、差別的な言動が著しくなる背景にSNSなどで自分と同じ意見だけを見聞きし続けることで、思考が極端になっていく現象「エコーチェンバー」があるとした。
 同じく社会面には、北海道アイヌ協会がアイヌ民族へのレイシズムの当事者である衆院議員杉田水脈のSNS投稿について「公に投稿する内容として不適切で、人権意識の欠如といえる」とする声明を発表した。

2023-12-19
 アニメ映画『窓ぎわのトットちゃん』監督の八鍬新之介のインタビューが道新カルチャー面に。自らの子どもができたことをきっかけに、先進的な教育に取り組む「トモエ学園」を舞台に、小学1年生のトットちゃんと友達のかかわりを描く。原作は黒柳徹子の同名小説。登場人物の唇を赤く描いた背景には、船越桂の彫像の影響もあるという。黒柳は滝川にも縁がある。
 道新社会面に、国の文化審議会が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産登録の申請候補に「書道」を選んだとの記事。書道は2021年に国の登録無形文化財になっている。登録採否は2026年。

2023-12-18

 元札響首席チェロ奏者の土田英順が、500回目となるチェリティーコンサートを札幌で開いた。〈500回続けられたのが信じられない。74歳のチェリストが86歳になった。支えてくれた皆さまのおかげ〉〈音楽の力で震災の苦しみ、悲しみを少しでも和らげていきたい〉。道新社会面。

2023-12-17

 来年1月20日に開幕する札幌国際芸術祭の事業のひとつ、明和電機の「ナンセンスマシーン展」が16日に始まった。初日は明和電機社長の土佐信道がミニライブも。3月3日まで。鹿追町を舞台にした映画『おしゃべりな写真館』の完成披露上映会が、町民ホールで16日に開かれた。妻を亡くした写真家と、山村留学で町に来た中学2年の少女が主要なキャスト。来夏全国公開される。いずれも道新社会面。

2023-12-16

 奥尻町出身の詩人麻生直子の新詩集『アイアイ・コンテーラ』(紫陽社)。表題はニヴフ民族の言葉で「それは困ったね」の意味という。道新カルチャー面。
 社会面には、道内テレビ局3社がドキュメンタリー番組の映画化を相次いで公開するとの記事。HBCは『ヤジと民主主義』、UHBは『新根室プロレス物語』、HTBは『奇跡の子 夢野に舞う』。
 朝日新聞北海道面。公益財団法人アイヌ民族文化財団主催のアイヌ語弁論大会「イタカンロー」に参加した、北原モッコト(北大アイヌ・先住民研究センター教授)は、生誕120年の知里幸恵を描いた和製作品が感動ストーリーとして消費されていると指摘する。差別の解消は「個人的な思いやり」ではなく「制度の改革として目指すべきだ」という趣旨。差別や人権の問題に向き合う入り口として、知里幸恵の物語があってもかまわないと思うが、「感動」だけにとどまる浅さを突いているのだろう。同じく道内面に、北海道デジタル出版推進協会(代表理事・林下英二中西出版社長)の活動が紹介されている。2013年に道内出版社10社でスタート。現在は14社で、電子化した書籍・雑誌は1050点に及ぶという。木村盛武慟哭の谷』や、けーたろう著・なかいれい絵の『おばけのマール』シリーズなど。

2023-12-15

 老舗音楽雑誌「ステレオサウンド」が「ジャズの街根室」を特集した。1960年代に遡り、愛好団体やジャズ喫茶も紹介している。雑誌は1966年創刊。映画『千と千尋の神隠し』の音楽プロデューサー大川正義(根室出身)の提案で実現したという。道新社会面。

2023-12-14

 河﨑秋子の『ともぐい』(新潮社)が第170回直木賞の候補作となった。候補は2度目。選考会は2024年1月17日。

2023-12-13

 浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」が、台湾やカナダなどの先住民ら8人と共同で2023ラポロ宣言を取りまとめた。先住権は法律による権利ではなく、伝統や慣習に基づく各集団固有の権利であることなど、宣言は9項目。今年5月に開かれた国際シンポジウムを機に、半年に宣言文を日本語、英語、中国語でまとめた。道新社会面の記事。

2023-12-12

 道新札幌圏版はシリーズ《ディープに歩こう》の狸小路商店街の前触れとして、商店街のすべての店構えを撮影した写真を、1丁目から7丁目まで900m分を並べて見開きで見せた。小さいけど貴重なアーカイヴ。
 カルチャー面には十勝管内在住の河﨑秋子のインタビュー。明治の道東で、熊と戦う漁師「熊爪」の姿をモチーフにした『ともぐい』(新潮社)を刊行した。14年前、道新文学賞に初応募して候補に残った『熊爪譚』を「物語の根っこは一緒だが膨らませ育て上げた」という。古谷経衡の《考えるピント》は、杉田水脈衆院議員の差別発言をテーマに、「北海道は日本人が開拓したフロンティア」という根強い「開拓神話」にも言及し、アイヌ否定論者の主張の背景にあると指摘した。〈自国の誇りとは、過去に一度も自らの手が汚れていないことを喧伝することではない。過去の暗部を見つめ、真摯に反省し、繰り返さないように努力を続けることこそが真の愛国心ではないのか

2023-12-11

2023-12-10

 道新の《支局長だより》は余市から。町内でほぼ全編を撮影した映画『美晴に傘を』が来秋全国公開。余市出身の映画プロデューサー大川祥吾(『サムライオペラ』)と、映画監督渋谷悠(『自転車』)が制作する。地元の余市紅志高校の演劇部や卒業生、町民が出演した。渋谷は「今回の映画を機に、(フィルムコミッション)設立に向けた動きが出てくることを期待したい」。

2023-12-09

 滝川出身の彫刻家五十嵐威暢の作品や資料を集めた「五十嵐威暢アーカイブ」が、金沢工業大学のライブラリーセンターに開設された。開館記念展示は「見ているか?」。《展覧会》は、本郷新記念札幌彫刻美術館で開かれている「生命体の存在」を紹介。道内の美術館が活躍中の地元作家を取り上げる機会が少ないことを指摘している。道新カルチャー面。
 朝日新聞北海道面。HBCが制作したドキュメンタリー映画『ヤジと民主主義 劇場拡大版』が、9日から公開される。映画の監督も務めた報道部の山崎裕侍のインタビューを掲載した。
 朝日新聞夕刊一面では、三浦綾子の元秘書山路多美枝が、強盗殺人事件の無期懲役囚と10年間、文通を続けているとの記事。綾子が読者の手紙に丁寧に対応してきたことにならった。記事に言及はないが、綾子自身も夫の三浦光世も死刑囚と文通していた。

2023-12-08

2023-12-07

 1990年に『今日、悲別で』として初演され、脚本家倉本聰の代表作ともなった舞台を、富良野GROUPが『悲別2023』として富良野演劇工場で上演する(8〜17日)。10年ぶりとなる。演出は久保隆徳。炭鉱閉山がモチーフだが、2012、13年には原発事故を盛り込み『明日、悲別で』も上演されている。札響のコンサートマスター会田莉凡を中心とするリッカ弦楽四重奏団が、13日にふきのとうホールで旗揚げ公演を開く。道銀芸術文化奨励賞に、声楽家の三輪主恭(かずやす)、日本画家の水野剛志が選ばれた。いずれも道新カルチャー面。
 むかわ町の穂別博物館は、カムイサウルス・ジャポニクスむかわ竜)が発掘された当時の土壌から白亜紀後期の約7,200万年前の被子植物の花粉が見つかったと発表した。道新社会面。
 朝日新聞夕刊《現場へ!》は賢治の旅の4回目。賢治の樺太旅行などを取材して『サガレン』を刊行している梯久美子は、賢治が樺太鉄道での旅で何も書いていないことについて「悲しみの中にあっても、未知の土地の風物に魅了され、車窓の景色を見るのに夢中だったのでしょう」と話す。「賢治は鉄道や船で、二つの海峡を越えながら、生と死の境界をまたちだ。地理的な移動だけでなく、時間的な移動もそこにある。心の中で過去と未来を往還しつつ、体はここから別のどこかへ運ばれていく。そんな移動する文学の魅力が最大限に発揮されたのが、樺太旅行をもとに執筆された『銀河鉄道の夜』なのだと思います」

2023-12-06

 アイヌ民族への差別について文章と漫画で伝えた『アイヌもやもや』(303BOOKS)から刊行された。道新社会面。北大アイヌ・先住民研究センターの北原モコット教授と漫画家の田房永子による。東京に住むアイヌ民族の男子高校生が主人公。アイヌ民族に対する差別や偏見を取り上げ、解説している。「もやもや」の意味は「声を上げなくても、相手の言動に違和感がある状況」と北原教授。
 朝日新聞夕刊の《現場へ!》は賢治の旅の3回目。青函連絡船で函館へ渡り、旭川を経由。旭川宮沢賢治研究会の呼びかけ人、元旭川市中央図書館長の松田嗣敏は「北国の気持ちの良い朝の空気や旭川の風景が、長旅に疲れ、妹の死に沈んでいた賢治の心を、一時的に軽やかなものへと変えたのかもしれません」と話す。

2023-12-05

 名寄出身の鎌田義孝監督による映画『蘭島行』が道内先行上映。東京でやさぐれた暮らしをする主人公は、小樽で暮らす母が自殺を図ったと連絡を受ける。自殺に失敗して倒れていた女を妻として連れて帰郷する。全国公開は来夏の予定。道新カルチャー面。
 朝日新聞《オリパラ札幌招致の行方》下では、2014年に札幌冬季五輪招致を表明した上田文雄元市長の談話を掲載。〈五輪を開いて得られるものは「市民力」です。それは今後も変わりません。市民が自らの状況を判断して、協力してやっていくことです〉〈信頼できる市役所であるために、市が日々、適切な情報を提供して市民と共有していくのが、大事な仕事です〉。理念はそのとおりだが……。

2023-12-04

 東京の写真家新田樹が、昨年出版した写真集『Sakhalin』を手にサハリンを訪問している。9年がかりで、戦後にサハリンに残留した朝鮮半島出身者や日本人配偶者らを撮影した。〈残された人々の境遇や歴史を、遠い地の出来事ではなく自分の両親や祖父母にも起こりえたことだと感じてほしい〉。道新社会面に掲載。
 朝日新聞夕刊《現場へ!》では、『銀河鉄道の夜』執筆のきっかけとなった、ちょうど100年前の宮沢賢治の樺太への旅を取り上げた。連載の1回目。賢治は花巻農学校教員時代、教え子の就職を頼みに樺太に渡ったのだが、前年に結核で亡くなった最愛の妹トシの追悼の旅とも言われている。

2023-12-03

 道新読書ナビの《ほっかいどう》は川村湊島田龍責任編集『左川ちか モダニズム詩の明星』(河出書房新社)を、加藤重男(みんみん舎代表)が評した。昭和初めに24歳で没した余市生まれのモダニズム詩人。道立文学館で開催中の特別展「左川ちか 黒衣の明星」にも呼応し、島田編『左川ちか全集』(2022年、書肆侃侃房)を皮切りとする近年の左川ちか再評価の集大成とも言える一冊である。
 「北海道ゲームアーカイブ協会」が札幌で発足。ゲーム収集家の山本耕平らが、ファミコンソフトなど昭和期からのゲームソフト3,600本、関連書籍3,500冊などを集めた。2026年ごろにはNPO法人化も目指すとのこと。道新社会面。
 朝日新聞北海道面。函館アイヌ協会が、アイヌ民族文化財団のアドバイザーを招いてイチャルパ(先祖供養の儀式)を開催している。わずか9人の協会員だけでは成り立たない。アドバイザーは「アイヌだけで集まれないから伝統儀式をやめます、ということでよいのか。私のような和人も含めて集まって継承していくあり方があってもよいと思う」と話す。

2023-12-02

 道新札幌圏販の《ディープに歩こう》のファクトリー編で、岩佐ビルが取り上げられた。1950年に岩佐通産のラムネ製造工場として建てられ、最盛期には250人以上が働いていた。1階の天井が高いことが特徴で、洋菓子店や演劇専用小劇場「BLOCH」が入居している。BLOCHを開業したのは、かつてルネッサンス・マリアテアトロのマネジャーだった和田研一。この20年で100以上あった劇団は、70団体ぐらいになったと振り返っている。
 サタデーどうしんの文化・エンタメでは、道立文学館で開催している特別展「左川ちか 黒衣の明星」について、主任学芸員の吉成香織が書いている。〈ちかは、故郷に向き合い、自分の内面に向き合い、真摯に自己の詩の表現を追求することで、自分にしか作ることのできない、しかし、近代を生きる多くの人々に共感を与える、生きた「モダニズム」詩を作り上げた〉。同じ紙面には、美術評論家の酒井忠康が蔵書1,200冊を札幌彫刻美術館に寄贈したとの記事も。
 脚本家の山田太一が死去。11月29日、89歳。詩人・小説家の三木卓死去。11月28日死去、88歳。小熊秀雄賞の選考委員を務め、伊藤整文学賞を受賞した。
 朝日新聞の北海道面は、《オリパラ札幌招致の行方》の中で、阿部雅司・札幌五輪ミュージアム名誉館長の談話。〈積極的な賛成でも反対でもない。招致への明確な賛否を決めかねている中間層、浮動層の方々たちに、何もアプローチできなかったことがミスなんです〉。重要な視点だろう。

2023-12-01

 札幌市が冬季五輪招致を断念した背景を、朝日新聞が社会面、道内面とスポーツ面で総括している。汚職五輪への逆風からの脱出をリードできなかったJOCの不甲斐なさにも触れ(社会面)、札幌の招致理由の「五輪は都市再開発の起爆剤で、海外観光客の増加につながる」を昭和の価値観を引きずったままと断罪した(スポーツ面)。だがそれは札幌に限ったことではなく、汚職五輪が記憶に新しい東京大会もJOCの存在も、古い価値観の祝祭資本主義そのものであった。道内面には、常見陽平千葉商科大准教授が寄稿(《オリパラ札幌招致の行方》上)。福岡市の成長ぶりを引き合いに、札幌は「世界を相手にできておらず、ビジョンを持っていないから」と指摘している。
 道新も1、2、3面、社会面で大展開している割には、断念の理由は汚職五輪との指摘に終始し、なるほどと思わせる「論」は少ない。北海学園大教授の山本健太郎が、「市長がまずやるべきことは、札幌のまちづくりの将来像を描き直すことだ」と述べ、「人口が減少し、縮小していく都市の判例を作り上げてほしい」と結んでいる。
 道は本年度の北海道功労賞に、アイヌ服飾文様研究家の津田命子(のぶこ)ほかを選んだ。