• 奈良美智の弘前

     道新カルチャー面。円城塔《西の国から》は「北の怪談」の話題。《音楽会》は、バリトン川村英司のリサイタル「音楽に寄せて」(2023年12月15日)。ピアノは札幌の山口玲子(評・中村隆夫)。
     朝日新聞文化面は、奈良美智の青森県立美術館での個展を取り上げ、故郷弘前との距離感を作家に問うた。原点としての弘前を「振り返るというより、ずっと後ろにあって、今もこの背中に確実にへばりついている。年をとるとともに重くなりながらも、歩いてきたんだなって感じがある」と語った。個展は2月25日まで。

  • 片岡球子『一休さま』

     道新社会面。片岡球子(1905〜2008)の晩年の作品『面構(つらがまえ) 一休さま』が、道立近代美術館に寄贈された。寄贈者の堤さえ子は中央区の裏千家教授で、近美の資料整理ボランティアを長年務めた。縦1.5m、横3m。3月23日から6月16日まで『一休さま』を含む面構シリーズ4点を展示する。札幌市は「東1丁目劇場施設」(旧四季劇場)を来年3月で閉館すると発表した。

  • 生きている限り芝居を作る――斎藤歩

     道新カルチャー面《会いたい聞きたい》で、俳優・脚本家・演出家の斎藤歩の大インタビュー。人形劇師・沢則行との2人芝居、2021年に発症した尿管のがんのこと、魴鮄舎など1980年代からの活躍、演劇財団でのコロナ禍との闘い、これからの北海道演劇に寄せる言葉など、充実した内容だ。デジタル版はさらに読み応えがある。▼道内文学 創作・評論(小田島本有)▼論壇時評(中島岳志)

  • 直木賞受賞エッセー

     朝日新聞文化面に、直木賞受賞の万城目学、河﨑秋子の受賞エッセー。河﨑は、2匹の猫との暮らしを引き合いに〈このまま飼い主の事情など一切関係ない猫でいて欲しい。できるだけ健康で。感謝と共に猫に願う。〉。対して万城目は、これまで落選してきた十数回!の文学賞を挙げ、6回目の候補での受賞を〈過去の一方的な文学賞へのわだかまりに対し、いっせいに精神的徳政令を発した。〉と。

  • 荒巻義雄『海没都市TOKIYO』

     荒巻義雄が新著『海没都市TOKIYO』(小鳥遊書房)を刊行した。地球温暖化で大半が水没した近未来の東京が舞台。〈「ありえるかもしれない」近未来と、現在の抱える問題とを兼ね合わせ〉た作品。評者は立原透耶。道新の読書ナビ《ほっかいどう》。
     浦幌のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」は、昨年当地で開かれた国際シンポジウム「先住権としての川でサケを獲る権利」の報告会を帯広で開催。台湾やカナダなどの先住民との連携で、先住権を求める闘いを続けており、賛同を求めた。道新社会面。
     札幌西区のコミュニティFM三角山放送局で、パーソナリティを務める吉田重子。盲学校の教師を務めながら2013年から、点字の進行台本を手に、月1回、1時間の生放送に臨む。番組名は「音を頼りに、音便り」。「せっかくだからまずやってみよう」という行動力を「せっかくだから病」と呼ぶ。朝日新聞道内面。

  • 南区アートシーズン

     道新カルチャー面の《展覧会》。旧真駒内緑小(真駒内幸町2丁目2-2、札幌市立大まこまないキャンパスまちの教室)で開かれている「南区アートシーズン・冬」を取り上げた。南区アートプロジェクトの一環で、八子直子、北川陽稔(あきよし)が発表している。2月14日まで。2月3日にはトークセッションを予定。

  • バーメルト 最後の札響定期

     道新カルチャー面。第658回定期演奏会(1/27、28)が首席指揮者として最後の定期となるマティアス・バーメルトのインタビュー。札響について「実力は海外に出ても十分なオケだと思っています」と述べ、海外公演は「成功すれば観客や地元に帰ったときにスポンサーにもいい印象を与えることができる」とした。
     道新社会面には、三浦綾子の元秘書山地多美枝が十年来続けてきた無期懲役囚との文通についての記事。趣旨は朝日新聞(2023-12-09)と同じ。九州の刑務所にいる受刑者は「真っ暗な海の上につかまるものも無く浮いていた私に流れてきた1本の丸太のようだったのが山路さんとの手紙」と取材に答えた。同じ面には、雪や氷に関連した作品が展示されているとのSIAFの紹介記事も。

  • 北海道の児童文学

     道新の中高生まなぶん《北の事始め》101回目は「児童文学」。1952 年に創設された日本児童文学者協会で、加藤多一、後藤竜二といった作家が活躍した。道内では明治末に、旭川で『少年乃北海』、倶知安で『後志学の友』という児童向け雑誌が刊行された。児童文学研究家の柴村紀代は、北海道の児童文学は、支部沈黙や坪松一郎らの童謡に始まったという。代表的な作家として、開拓農家の暮らしをよく知り、作品に取り入れた加藤、後藤のほか、小笠原洽嘉、有島希音、富盛菊枝、升井純子の名前を挙げている。
     道新社会面には1984年にマッキンリー(デナリ)で行方不明になった植村直己が、1973年にグリーンランドで撮影したとされる未公開写真を、北大の北極研究者日下稜が発見したとの記事。100歳のの書家中野北溟は、札幌市に書731枚(評価総額13億6200万円)を寄贈した。

  • 炭都 芦別の社会史研究書

     道新はこの日も1面から社会面へ続くロングインタビューで河﨑秋子特集。今後の活動について「生まれ育って一番肌になじむ北海道にこれからも住み続けてここで文章を書き続けます。北海道はその歴史や住み続けている人をクローズアップするだけでたくさんの物語が立ち動く場所。とても魅力があります」。
     道新社会面には、かつての炭都芦別の石炭産業史をまとめた『芦別 炭鉱<ヤマ>とマチの社会史』(寿郎社)刊行に記事。社会学者らの「産炭地研究会」のメンバーが執筆。早稲田大文学学術院の嶋崎尚子教授は「芦別が炭鉱とともに歩んだ年月は道内の石炭産業のライフサイクルにほかならない。膨大な人が芦別に移入、移出していった足跡に着目した」と話す。芦別五山と呼ばれる三井、三菱などの炭鉱の盛衰、構内での爆発事故や労働組合などを解説している。

  • 新 直木賞作家を特集

     北海道新聞はカルチャー面の8割がたを使って、直木賞を受賞した河﨑秋子の大特集《作品と横顔に迫る》を展開。1面のインタビューは恒例の芥川賞・直木賞選考を振り返る記事では、受賞作『ともぐい』について「圧倒的な文章で計算が行き届いている」「自然と近代、雄と雌といったさまざまな対立が表現されている」との評価。作品についての自らのコメント、これまでの経歴、十勝での暮らしなどをまとめた。

  • 芸術祭やめちゃ駄目

     SIAF2014のゲストディレクターを務めた坂本龍一を偲ぶトークイベントが、21日に札幌市資料館で開かれた。飯田志保子、大友良英、天野太郎らが出演。大友は「いろんな人が入り込める芸術祭になるまで10年かかった。絶対にやめちゃ駄目。やめたら税金の無駄遣い」と述べた。

  • アイヌ民族と研究者対話

     北海道アイヌ協会、日本人類学会、日本考古学協会、日本文化人類学会の4学協会主催のシンポジウムが20日に札幌で開かれた。研究者とアイヌ民族の対話の場として企画された。日本考古学協会の矢島国雄・明治大名誉教授は「過去のアイヌ文化研究に問題にあったことは認識しなければならない。調査される側の価値観や権利への配慮がかけていたことは否定できない」と述べた。
     札幌国際芸術祭SIAF2024の開幕セレモニー。小川秀明ディレクターは「私たちは未来に向けて何ができるか。札幌を舞台にした未来志向の実験が始まることを、皆さんと楽しみにしていきたい」と話した。
     いずれも朝日新聞北海道面。

  • SIAF2024 20日開幕

     通算4回目(前回は中止)となる札幌国際芸術祭(SIAF2024)が20日に開幕。初の冬季開催で、10ヶ国以上約80組のアーティストが参加する。ディレクターはリンツ市のアルスエレクトロニカで活動する小川秀明。テーマは「LAST SNOW」。主会場は北海道立近代美術館、札幌芸術の森美術館、SCARTS、モエレ沼公園、さっぽろ雪まつり大通2丁目会場、未来劇場。21日は「SIAF2014から2024へ―坂本龍一ゲストディレクターからのバトン」(札幌資料館)と「ACFアートサロン 追悼 坂本龍一」(カナモトホール)が開かれる。道新カルチャー面。
     貴重なマンガの原画を保存・活用するための調査を、文化庁が始める。調査は公募した民間事業者に委託し、独立行政法人国立美術館も協力する。『あしたのジョー』の作家ちばてつやの原画やネームなど48,000点を調査してインデックス化し、保存の手法を検討する。本年度中に3,400万円、新年度も他の漫画家の作品調査などで1億9,000万円を予算化した。朝日新聞社会面。

  • 祝 直木賞受賞

     別海町出身の作家・河﨑秋子が『ともぐい』(新潮社)で第170回直木賞を受賞した。熊打ちの猟師「熊爪」を主人公に据えた〝熊文学〟である。2012年に『東陬遺事』で北海道新聞文学賞、2014年に『颶風の王』で三浦綾子文学賞を受賞している。北海道の歴史と人間に真っ向から向き合った、骨太の「北海道小説」が高く評価されたと言えるだろう。〈熊がいるところに居続けること、あらがうこと、戦うこと、このすべてを通じて熊文学ととらえていただいてかまいません)。道新一面、3面、社会面。もちろん朝日新聞にも。
     映画プロデューサー大林恭子が、2020年に亡くなった夫の大林宣彦との思い出を『笑顔と、生きることと、明日を 大林宣彦との六十年』(春陽堂書店)にまとめた。芦別など道内ロケの作品にも触れた。道新社会面。

  • ゲームソフトのアーカイヴ

     50年前に札幌で設立されたゲームソフト会社「ハドソン」の思い出を語るイベントが、「北海道ゲームアーカイヴ協会」の主催で昨年12月に開かれた。元社員の高橋名人らが参加。協会を運営する山本耕平はゲームのコレクター、寺農織苑は学芸員資格を持つ北大の院生。〈研究するにせよ、展示するにせよ、オリジナルの資料や当事者のインタビューができる限り良い状態でアーカイブ(保存)されていけば後世の財産になる」。寺農の言葉は、ACA設立の理念と重なる。朝日新聞北海道面。

  • SFアニメ『ヤキトリ』

     札幌のCGプロダクション「アレクト」が作成したSFアニメ『ヤキトリ』が、Netflixを通じて動画配信されているとの記事。戦闘シーンはモーションキャプチャーにより、登別伊達時代村の俳優の動きを取り込んでいるという。音楽は世界的DJケンイシイが手がけたテクノポップ。ちなみに「ヤキトリ」は地球外勢力の属国になった地球の若者による部隊?の名前で、使い捨て扱いをされているとの設定。
     ノンフィクション作家・澤宮優の新著『天守のない城をゆく』(青土社)では、函館の五稜郭、北斗市の松前藩戸切地陣屋跡、白老の仙台藩白老元陣屋、根室のヲンネモトチャシ跡など道内の〝城〟も紹介している。五稜郭を除けば、道内でもそれほど知られていないのではないか。まなざしやよし。▼《音楽季評》10-12月 三浦洋▼《道内文学》詩 若宮明彦。いずれも道新カルチャー面。
     丸木位里・俊夫妻による絵本『ピカドン』の初版(1950年)が復刻された。原爆の図丸木美術館の岡村幸宣学芸員が企画し、研究者による解説冊子と併せて京都の琥珀書房が販売している。道新社会面。
     16日は、1月5日に開かれた「札幌演劇いまとこれから」シンポジウムの第2弾「札幌演劇シーズンのこれから」がシアターZOOで開かれた。札幌演劇シーズンプログラムディレクターの斎藤歩と、NPO法人コンカリーニョ/札幌演劇シーズン事務局の太田真介の対談で、100人の演劇人が食べていける街づくりを目指し、2011年度に始まった演劇シーズンの紆余曲折を振り返った。斎藤は当初は依頼を受けて、年に1ヶ月ばかり関わっていたが、演劇シーズンを提唱した人たち(主に企業人)が「本気」を見せてくれたことで、より深く関わることになったと明かした。「100人が食べていける」との目標は道半ばではあるとしつつも、優れた作品の再演が定着したことや、連続1週間の公演ができるぐらい客が増えてきたことなど、変化も見えてきたと話した。斎藤はプログラムディレクターの役職を健康問題で1年早く下りると述べ、後任には「単なる演劇シーズンに参加する劇団の選定ではなく、もっととんがった芝居を作っていく手伝いをする役割を期待したい」とした。演劇で「食えるかどうか」ではなく「食えないけれど続け方がある」ということを考えている、という言葉が印象的だった。

  • letter15 データベース設計中。

     札幌もいよいよドカ雪が降りました。
     ACAの活動の根幹となるデータベース(DB)の設計は、年末年始に佳境を迎えました。美術、音楽、文芸、演劇・舞台などの専門部会を開き、DB公開後に入力していく項目や形式などを分野ごとに吟味しました。
     並行してDBのプロトタイプを作成し、1月中には運営メンバーによるテスト入力をスタートする運びです。まだまだ検討すべき点が残っていますが、一歩ずつ着実に前進といったところでしょうか。

  • 『舟唄』

     朝日新聞文化面は、阿久悠とともに『舟唄』『雨の慕情』を手がけた作曲家の浜圭介による八代亜紀の追悼文。『舟唄』は阿久が美空ひばりをイメージして書いた詞で、それを知らなかった浜もまたひばりをイメージして曲を書いたと明かしている。『舟唄』が八代亜紀の代表曲になったのは、運命としか言いようがない。
     道新読書ナビの《ほっかいどう》は、亀野仁『地面師たちの戦争』(宝島社文庫)を紹介。前作『密猟海域』に続いて、舞台は北海道。

  • 福井爽人が小樽に作品寄贈

     日本画家で東京藝大名誉教授の福井爽人(86)が、市立小樽美術館へ150号の大作6点を含め9点を寄贈した。旭川生まれ、小樽育ち。小樽美術館で特別展「追憶の歌 日本画家 福井爽人」(2023年4月〜7月)が開かれたのがきっかけ。寄贈した作品は『春影』『門』『木陰』『影映』『春陽』『沐浴のとき』『鴨』『干物』『梟』。
     13日から、特別展「AINU ART―モレウのうた」が北海道立近代美術館で始まる。19世紀から現代までの着物や木彫の文様「モレウ」を展示する。2013年の「AINU ART―風のかたりべ」の続編で、昨年秋に一宮市三岸節子美術館で先に開催された。

  • 《言の葉工務店》が面白い

     道新カルチャー面のアーサー・ビナード連載《言の葉工務店》がめっぽう面白い。この日は冬の寒さ、切なさを、そのテーマで軽妙な詩を書いた山之口獏や草野心平を例に挙げつつ語った。題して〈人間が味わう「心の冬越し」〉。〈草野心平は蛙を鏡に、同じ生物であるぼくらの心身の仕組みを描く。冬眠中の「土のなかの靄のような幸福」まで味わわせてくれる。「心平診療内科」と呼んだら胡散臭く聞こえるが、心の冬越しには最適だ。〉と。
     道新社会面には、函館出身の女性能楽師柏崎真由子が3月2日に、国立能楽堂で『道明寺』のシテを初めて演じるとの記事。道内出身の女性能楽師として34年ぶり(1990年に、小樽出身で重要無形文化財総合認定保持者の足立禮子が演じた)。シテ以外にも、地謡、笛、小鼓、太鼓など可能な限り出演させるのは、能楽史上初の試みという。

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