北海道芸術文化アーカイヴセンター

HOKKAIDO ARTS AND CULTURE ARCHIVES CENTER

AtoCジャーナル 2023-10

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2023-10-31

 第38回北海道新聞短歌賞は帯広の石畑由紀子エゾシカ/ジビエ』、佳作は旭川の塚田千束アスパラと潮騒』。俳句賞は苫小牧の名取光恵羽のかろさ』、佳作は函館の對馬埜臬(やげつ)『青丹斎日乗抄』に決まった。
 道新カルチャー面では、開館5周年を迎えた札幌市民交流プラザを総括した。市民交流プラザは2018年10月7日に開館。当年度は半年間で図書・情報館を含めた来館者112万9千人、hitaru稼働率91.8%、翌年度は169万3千人を超えた。コロナ禍を経て、22年度は100万人に回復した。自主事業のうち、創造事業では地元ゆかりの人々が中心となってオペラとバレエを隔年で開催する仕組みとした。課題は集客力。『アイーダ』『白鳥の湖』などポピュラーな演目と比べ、『サロメ』や『ドン・カルロ』が苦戦するのは見えていたこと。三浦洋(北海道情報大教授)が指摘するとおり、今後の工夫が問われる。同じ紙面の《ステージ》では、札幌座の『群来、春告魚と蜃気楼』を評した。

2023-10-30

 第57回北海道新聞文学賞の創作・評論部門は、原雪絵さちこの行方」が満場一致で本賞を受賞。詩部門は故永(ゆえなが)しほる壁、窓、鏡』が本賞、若宮明彦瑪瑙屋』が佳作となった。
 合唱コン中学混声の部は北斗市立上磯が銀賞、中学同声では札幌市立札苗が銀、市立上篠路が銅。吹奏楽コンの職場・一般の部は、上磯吹奏楽団が銀、札幌ブラスバンドが銅。

2023-10-29

 第77回北海道新聞文化賞が発表された。社会部門は版画家・絵本作家の手島圭三郎(江別)、学術部門は北大大学院医理工学グローバルセンター長で放射線治療医の白土博樹、経済部門は水稲3品種の食味「特A」評価を受けた道立総合研究機構農業研究本部
 第77回全日本合唱コンクール全国大会高校生部門で帯広三条が香川県知事賞と金賞(Aグループ)、札幌旭ヶ丘が銅賞(Bグループ)を受賞した。全日本吹奏楽コンクール全国大会の大学の部では、道教大函館校が銅賞。

2023-10-28

 市立網走美術館で、木版画家川瀬巴水(1883〜1957)の企画展が開かれており、展覧会に計100点を提供したコレクターの荒井寿一(神奈川県)のギャラリートークが26日に開かれた。道新電子版より。川瀬は浮世絵の伝統を継承し、絵師、彫師、摺師が分業する「新版画」を代表する作家。新版画は同時期に市立弘前美術館でも展覧会が開かれ、川瀬や渡邊庄三郎の作品が展示されているという(東奥日報)。川瀬はいずれもスティーヴ・ジョブズが作品を収蔵していたことで知られるとの説明。まあ、そうなりますね。
 彫刻家の二部黎が80歳で死去。2017年に斜里から矢臼別に移住して、美術館「平和の家」を開設していた。

2023-10-27

 本郷新彫刻賞授賞式が26日に開かれ、第4回受賞者である中札内村の藤原千也が喜びを語った。〈受賞の連絡を聞いた時は飛び上がった。実際に作ることができてうれしい〉。道新札幌版。
 カルチャー面には、10回目の節目を迎えた新千歳空港国際アニメ映画祭が11月2日開幕の記事。事務局の小野朋子チーフディレクターは「ジェンダー問題など、社会の閉塞感を反映したものが目につきます」。
 朝日新聞夕刊社会面。埼玉県川越市の尚美学園大に、J-POPのルーツをたどれる資料を集めた「富澤一誠 Jポップ・ライブラリー」が開設された。ポピュラー音楽評論家の富澤は同大副学長。吉田拓郎、ユーミン、竹内まりや、松原みき、BOØWYなど、70〜90年代を中心とする5,159組の計8万点! 寄贈なのか寄託なのかは書かれていないが、個人が長年苦労して集めた資料群が、公共的なアーカイヴとして公開(現在は在学生のみ)される意義は大きい。

2023-10-26

 NPO法人モエレ沼公園の活用を考える会が、モエレ沼公園の森づくりにチャレンジするという話題。道新札幌版。ごみ処理場を埋め立てした関係で、森林の生育環境はあまり良くない。そこで、生態学的混播・混植法により、サクラの森にキタコブシやハウチワカエデなどから種を採った苗木8種8株の植樹を試みた。サクラの森の針葉樹の間伐材は、馬搬により運び出す。考える会ならではの植樹イベントは29日。
 朝日新聞文化面。建築家伊東豊雄の初期の建築資料(図面や模型2,600点)が、モントリオールのカナダ建築センター(CCA)に寄贈される予定という。2013年、資料の海外流出を防ぐため東京・湯島に国立近現代建築資料館が設立されたが、予算やスペース、人員の問題で、資料を一括収蔵できない日本と違い、CCAは一括して引き取ってくれる。もとは民間の施設だが、現在は国も州もバックアップしている。

2023-10-25

 24日のUHBニュース。既報のキングムー解体後の再開発は、エスコンフィールドで知られる日本エスコンが担い、2024年に14階建てのホテルに生まれ変わるという。

2023-10-24

 札幌の篠路農村歌舞伎保存会が29日に、篠路コミュニティセンターで落語「唐茄子屋政談」を朗読劇として上演する。篠路歌舞伎は1902(明治35)年から1934(昭和9)年まで上演されたという。篠路では中央保育園が「篠路子ども歌舞伎」を1986年から続け、保存会が支援してきているが、保存会も自ら歌舞伎上演に挑戦するのが目標という。心意気。道新札幌版。
 社会面には、国産最古のオルガン(1905年、明治38年製)を所蔵する岩内町郷土館で、29日にオルガンの弾き方を学んだり、実際に弾くこともできるイベントが開かれる。岩内の網元が購入し、地元の寺院「帰厚院」に寄贈された後、町の所有になったという。

2023-10-23

 新聞は休刊日。道新電子版には、月形町の芸術活動拠点「ツキガタアートヴィレッジ」で開かれている「ツキヴィ文化芸術祭」の記事。ヴィレッジは旧知来乙(ちらいおつ)小の校舎を活用した施設。高橋喜代史川上りえらが出品している。11月12日までの土日祝日に開館する。

2023-10-22

 本日も道新社会面はアイヌ文化の話題。秋サケの不漁で、白老町のアイヌ文化体験に影響が出ているとの記事。例年はウヨロ川上流でサケを捕まえてその場で解体し、命の大切さを伝えてきたが、18、20日の体験事業は、本物のサケの代わりに発泡スチロールを使った。東京では21日に、アイヌ文化伝承の意義や課題を考えるシンポジウムが、日本女子大で行われた。平取町の木村梨乃が、カムイユカラなど口承文芸を披露した。《記者の視点》は、旧石器時代の黒曜石石器類が国宝指定を受けて4ヶ月。「国宝のある町」を育てていくための課題として、ガイド不足や白滝ジオパークの運営で露呈している問題などを挙げた。元井麻里子遠軽支局長。

2023-10-21

 道新社会面。札幌在住のアイヌ民族多原良子は、自民党議員の杉田水脈によるSNSへのアイヌ民族差別投稿を受けて法務局に人権救済を申し立てた。差別的投稿の削除要請も続けている。人権侵犯認定を受けてもなお大量に投稿される投稿から、杉田に同調している勢力が一定数あることを裏付けている。
 文化・エンタメ欄。北大大学院文学研究院共同研究員の及川琢英が『関東軍―満洲支配への独走と崩壊』を刊行した。関東軍の歴史や政府との関係を、中国側の資料も踏まえて明らかにした。

2023-10-20

 道新社会面。写真家の長倉洋海が、イスラエル軍の侵攻が秒読みになっているパレスチナのガザ自治区の住民避難を訴えている。ガザには216万人が住み、侵攻作戦に民間人も巻き込まれる可能性が高いという。〈国際社会として、攻撃をやめてくれと声を届けることも大事だ。日本の私たちも現地で何が起きているか心に刻み、教育、医療などさまざまな分野で支援していく必要がある〉。シアターキノでは27日、ドキュメンタリー映画『ガザ 素顔の日常』が上映される。福岡の配給会社「ユナイテッドピープル」が昨年から上映してきた。
 カルチャー面。映画『キリエのうた』を帯広近郊で撮影した岩井俊二監督インタビュー。北海道ロケでは偶然が重なって奇跡的にいいシーンが撮れることが多いという。〈北海道は来るとミラクルが必ず起きる聖地のような場所。拝みたくなる感じです〉。主演はアイナ・ジ・エンド札幌座は26〜30日に、シアターZOOで『群来、春告魚と蜃気楼』を上演する。作・演出は北海道演劇財団の芸術監督清水友陽。余市町を舞台とする物語という。文芸誌「札幌文学」が93号で、今年2月に亡くなった代表の田中和夫を追悼した。
 札幌の美術家西村一夫が、喜茂別のギャラリー杣人で展覧会を開いている。ギャラリー開設者で昨年亡くなった白鳥信之との生前の約束だったという。札幌版の《みにきて》。
 朝日新聞北海道面に、吹奏楽名門の遠軽高校の記事。全日本吹奏楽コンクールに2年連続出場。昨年完成した606席の音楽ホールを無料で練習に使え、大型楽器も用意されているという。いわばフランチャイズである。建設業の渡辺組が吹奏楽部向けの下宿「ミライロッジ」を6,000万円をかけて建てた。スポーツにも町の支援は及ぶ。佐々木修一町長は〈地域の人々が定着し、生活を続けるには医療・教育が不可欠。人口減少で高校が削減されていけば子どもを教育できない。町にある唯一の高校・遠軽の5クラスを維持することは日本の食料、環境を守ことにつながる〉。究極の目標は町の振興にあるが、全国クラスの活躍を続ける部活動を目当てに、入学者は急増している。めざましい成果だ。
 同じ紙面に、アイヌ先住権訴訟の記事。故萱野茂の次男萱野志朗が証人となり、鮭とアイヌのかかわりについて語った。萱野茂の著書から、曽祖母が「わたしの息子がサケを捕って神々に食べさせ、それと合わせて子供たちに食べさせたのに、罰を与えられるとは何事だ」と嘆いた話を紹介。訴えは浦幌町のアイヌ民族団体「ラポロアイヌネイション」が国と道を相手取って起こした。

2023-10-19

 道新帯広・十勝版の記事。タイ・バンコクのクロントイ地区スラム街出身の若者でつくる「イマヌエルオーケストラ」が音更町を訪れ、音更町伊福部昭ジュニアオーケストラと交流した。奈良県のNPO法人の企画で、札幌のどさんこ青少年オーケストラ協会も協力した。

2023-10-18

 道新札幌圏版に、クラブ「キングムー」解体工事が始まったとの記事。1991年開業。建設費65億円。ディスコブームが去り、2008年に閉店。東京の不動産業者が2016年に再オープンした後は、外国人観光客も急増したということなのになぜ閉店なのかは、解体計画が判明した13日の記事でも不明だが。店が賑わっていた当時の写真が貴重だ。

2023-10-17

 朝日新聞北海道版に、文学の妖精「アナタニサマ」の話題。文芸誌「逍遥通信」に掲載された札幌の小磯卓也の短編のストーリーをもとに、筆者が自ら作った人形の展覧会が、小説の舞台でる小樽で開かれているという。「都市伝説」として書かれた物語が面白い。冬の夜道を歩いていると文学の妖精が「あなたに」と本を差し出してくる。本を受け取ると、読むのをやめられなくなり、凍死してしまう。助かる方法は「もう読みました」と断ること。実に魅力的なお話。
 谷村新司死去。74歳。『冬の稲妻』『遠くで汽笛を聞きながら』『いい日旅立ち』『チャンピオン』。どれもわれわれの青春。『今はもうだれも』が「アリス」のオリジナルではないことを知らなかったのは不覚だった。道新社会面には、谷村の別荘があった弟子屈町の徳永哲雄町長がコメント。

2023-10-16

 道新札幌圏版に、寒冷地米栽培の祖とされる中山久蔵の子孫中山徹の講演会が15日、北広島の旧島松駅逓で開かれた。久蔵は1873(明治6)年に、北海道産米のルーツとされる「赤毛米」の栽培に成功し、稲作の礎を築いた。

2023-10-15

 道新の《支局長だより》は、今年で発見20年となった森町の鷲之木遺跡について。発見当時、移設が検討されていた遺跡を現地保存に転換させた住民運動に触れている。高速道路が遺跡下を通っていることにより、縄文世界遺産の「構成資産」とはならず、「関連資産」にとどまった。来年度からは、展望デッキや見学ルートなどの整備が始まるという。

2023-10-14

 道新サタデーどうしんのフロント面は、恐竜研究の国内第一人者である北大総合博物館の小林快次教授。むかわ町穂別で発見されたカムイサウルス・ジャポニクス(むかわ竜)の研究だけでなく、淡路島で見つかったヤマトサウルス・イザナギイ、中川町のパラリテリジノサウルス・ジャポニクスなどの研究成果を発表してきた。世界的な調査の過程で、気候変動に伴う環境の変化から史上6回目となる生物の大量絶滅が進みつつあるという。計画中のむかわ町穂別博物館(2026年4月開館予定)にも言及している。
 社会面の《朝の食卓》は、旭川の郷土史ライター那須敦志の「漫画になった小熊秀雄」。小熊の生涯を紹介する『漫画 詩人小熊秀雄物語』が刊行された由。作者は旭川在住の漫画家日野あかね。小樽では、13日から全国町並みゼミ小樽大会が開かれた。「小樽運河100年の歴史から考える」がテーマ。小樽運河論争を長年研究する法政大の細川三郎教授(環境社会学)が講演した。
 札幌版は、hitaruニトリホールディングスから5年間で1億円の支援を受けると発表。これまでにも延べ1億円を拠出している。札幌の中学2年生を無料で毎年招待する「青少年バレエ鑑賞事業」や、オペラやバレエの「hitaruプロジェクト」に活用される。

2023-10-13

 道新社会面。道は13日から、世界文化遺産「北海道・北東北の縄文遺跡群」に含まれる道内遺跡をPRするため、NFT付きのアート作品を活用したデジタルスタンプラリーを始めるとの記事。

2023-10-12

 苫小牧工業の教諭と生徒が「たたら製鉄」で精製した鉄を原料とし、刀身にアイヌ文様を彫刻した日本刀が作られた。道新社会面の記事。全長40センチ、刀身30センチ。刀は苫工の実習担任教諭の柴野希生(まれお)、アイヌ文様の彫刻は平取町二風谷の関根真紀。刀を製作したのは岡山県の刀匠だったというのが惜しいが、取り組みの趣旨がいい。
 カルチャー面。本郷新記念札幌彫刻賞は中札内村の藤原千也(かずや)の『太陽のふね』に決まった。樹木、樹皮、鉄を使い、地中に大部分が埋まった巨木を表現している。来年5月から札幌芸術の森美術館中庭に展示される。

2023-10-11

 札幌市が2030年開催の冬季五輪招致の断念を正式に発表した。断念が伝えられて、すかさず北海道新幹線の30年開業も難しいというニュースが駆け巡ったのは、根比べのようなものだったのかしら。日本ハム日本医療大学の北広島移転もそうだが、行政や大企業の根幹をなすような将来設計が、実はあてにならなくなってきたのではないか。
 札幌駅北口に建設中の「北八劇場」と北海道文化財団による「ワレワレのモロモロ」なるワークショップが、11月にかでる2・7で開かれるとX(ツイッター)で告知あり。参加者が「自分の身に起こった話を書き、演劇化する」という試み。ハイバイの劇作家・演出家岩井秀人と俳優の川面千晶が講師を務め、中学生以上を対象とする。開館前から動きが見えてこそ地域に根付く「劇場」への可能性が広がる。
 UHBニュースで不思議な報道。韓国籍の「世界的画家」が所有する札幌・中央区のマンションから、現金2,300万円などが入った耐火金庫が盗まれた。盗んだ男は画家からマンションの管理を任されていたそう。これだけならおかしな記事ではないが、ニュースサイトには「男は2019年7月15日ごろから2023年3月18日午後2時45分ごろまでの間…金庫を盗んだ疑い」とある。要するに、男が管理を任されてから捕まるまでのいつか、ということか。しかも世界的画家なら有名人のはずで、名前が明かされてもおかしくない。どんな配慮が働いたものやら。他媒体の報じ方が気になる。

2023-10-10

 新聞は休刊日。道新電子版では、大道芸人ギリヤーク尼ヶ崎の東京・新宿公演の様子を紹介している。青空舞踊55周年で、京都、札幌、旭川、札幌で公演予定とのこと。

2023-10-09

2023-10-08

 道新朝刊《読書ナビ》の「ほっかいどう」は佐藤太裕竹取工学物語』(岩波書店)。著者は北大教授。確かに「なぜ北海道で竹の研究なのか」との問いが浮かぶ。本質ではないけれど。
 朝日新聞朝刊の《声》欄。夫が都心で偶然見つけたタマムシのことを枕に、オーボエ奏者として坂本龍一の室内楽曲の初演に携わった経験に触れた。神宮外苑の再開発への反対表明について〈美しい音楽と共に改めてその叫びが突き刺さる。失ったものは簡単には取り戻せない。樹木も鳥も虫も。破壊への歩みを止めるなら今しかない。〉

2023-10-07

 道新朝刊のサタデーどうしん。知里幸恵の生涯を描いた映画『カムイのうた』が完成し、11月23日から道内で、来年1月から全国でも上映される。監督は札幌出身の菅原浩志。主演は吉田美月喜(みづき)。アイヌ民族が不当に受けた迫害の歴史も克明に描いたという。
 文化・エンタメの《展覧会》は札幌のギャラリーCAI03で開かれた鈴木涼子展「Body Letter」を取り上げた。祖父が残した「軍隊手諜」をモチーフのひとつとして、戦争が引き裂いた家族の問題を鋭く突く。「道内美術の大きな収穫」という見解に賛同。hitaruは2025年に上演予定のオペラ『ドン・ジョヴァンニ』の出演者を募集している。演出は粟国淳、演奏は園田隆一郎指揮の札響。
 社会面は札幌国際芸術祭(SIAF2024)の概要発表の記事。50組以上が参加し、道立近代美術館、SCARTS、東1丁目劇場施設、札幌芸術の森美術館、モエレ沼公園、さっぽろ雪まつり会場など。北海道文化賞など決まるの記事も。文化賞はアイヌ詩人の宇梶静江、彫刻家の国松明日香、江刺のいにしえ文化語り部会の松村隆。文化奨励賞は、ピアニスト野瀬栄進、縄文太鼓の茂呂剛伸、書家の山田起雲

2023-10-06

「まんが日本昔ばなし」の演出・作画・美術を手掛けた池原昭治が中学生時代に手作りした漫画本が、音更の任梟盧(にんきょうろ)で見つかったという記事が道新社会面に。任梟盧は評論家の草森紳一が残した1万5000冊の蔵書を保管する書庫。官ではなく民、それも一人の力でこしらえた図書館であろう。

2023-10-05

 道新朝刊の新・カルチャー面は1頁全段。次回札響定期、道近美で開催中の「近代日本画と北大路魯山人展」、《音楽会》は9月19日の「弦楽五重奏の夕べ」(評・三浦洋)、そして新連載のアーサー・ビナード《言の葉工務店》。「台風」と「野分」、「処理水」と「汚染水」といった言葉の点検を文学者らしい立場で。興味深い(が連載のスパンはわからない)。
 この紙面には新連載があるのでさほど気にならないが、夕刊廃止後のスクラップアンドビルドが十分に行われていないことは気になる。最たるものは第4社会面。確か第3社会面にあったはずの寄稿《朝の食卓》が移ってきて、おまけに夕刊社会面の《まど》が並んでいる。《まど》は記者の長寿コラムだったし、看板を維持したい気持ちはわからないでもない。しかし、デザインもそのままで「とりあえず」押し込んだようにしか見えない。そんなに大事な欄だったら、もうちょっと工夫してあげては。
 朝日新聞朝刊道内面に《ラピダス元年》のワッペン記事。内容はほぼ道新の後追いであるが、課題は水・電力供給と人材育成と整理した。気になるのは、原発再稼働が遅れれば支障が出かねない、一方で再生エネはラピダスも望んでいるものの不足するかもしれないとの論調。「だから再稼働を急ぐべし」と言いたいのだろうか、疑問だ。

2023-10-04

 鉄道駅のホームから時刻表時計が消えつつある。そういえば札幌駅のみどりの窓口にも、携帯用のミニ時刻表の配布はやめたと掲示があった。朝日新聞朝刊社会面。コロナ禍や少子化による経営環境の厳しさ、コスト削減、スマホなどで代用できることが背景にあるというけれど、時刻表を見て次の移動はどの便にしようか、と考えることはビジネスだけじゃなくて鉄道旅の楽しさのひとつでもあったはず。乗ってくれないと厳しいんですと言いながら、不便でしょうけれど乗る人が自分で調べてね、では新たな鉄道ファンも増えないのでは。

2023-10-03

 道新朝刊の新紙面。まずはカルチャー面「論じる」。大型インタビューの《会いたい 聞きたい》は、信州大特任教授・ニューヨーク州弁護士の山口真由。新著『挫折からのキャリア論』(日経BP)は、社会人一年生のころからプライドの高さが災いして失敗を繰り返してきたという経験を綴った。女性はもっと連帯を強めるべしとの提言も。他に《文芸時評》《道内文学 短歌》《魚眼図》《10月の札響》。

2023-10-02

 道新朝刊社会面。劇団四季の『リトルマーメイド』が、札幌の東1丁目劇場施設で日本公演通算4,000回を迎えた。それはさておき「東1丁目劇場施設」と「施設」をつけているのは、独立した劇場としての人的・予算的な体裁を整えていないからなのだろうか。

2023-10-01

 消費税のインボイス(適格請求書)制度が始まったのを実感したのは、街なかの駐車場の領収書に【10%対象・税込】のゴム印を押してくれたとき。「今日から変わったんですよ」と言われて気がついた。道新朝刊は、夕刊廃止を受けて様変わり。日曜の読書ナビは3面から2面に減り、大型書評は4本から3本に。《鳥の目 虫の目》《訪問》《コラム》は維持。ということは《ほっかいどう》の書評がなくなり、《北海道の新刊》(8行×2冊)に大幅縮小。記者ものの《読んでみた》がそれに代わるのかしら。やむを得ないことだけれど(後日注:ほっかいどうとコラムは入れ替え掲載のよう)。
 朝日新聞朝刊1面、2面に、芸能事務所との契約解除によってバンド名を名乗れなくなったビジュアル系ロックバンドが事務所側と裁判で闘い、権利を勝ち取るまでの詳細を報じている。クリエイティヴな仕事に誇りを持つ「アーティスト」なのか、事務所の言いなりに活動して名声を勝ち取った「所属タレント」なのかにもよるだろうが、そもそも「興行」は一般常識とは無縁な世界でもあった。ジャニーズ問題を挙げるまでもなく、旧態依然とした芸能界の商慣習がガラガラと音を立てて崩れつつある。

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