北海道芸術文化アーカイヴセンター

HOKKAIDO ARTS AND CULTURE ARCHIVES CENTER

AtoCジャーナル 2023-11

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2023-11-30

 道新カルチャー面で第61回有島青少年文芸賞の受賞者を発表。最優秀賞は、立命館慶祥高1年の佐々木希の小説『そこで見えたもの』。進路に悩む「私」が学習支援ボランティアに参加して、成長するストーリー。社会面には、第57回道新文学賞と第38回道新短歌賞・俳句賞の授賞式の記事。

2023-11-29

 作家伊集院静の追悼文を、桜木紫乃が朝日新聞に寄稿。「最後の無頼派」の通り名を生かし、〈無頼は「この人はラブホテルに行き尽くしているか、一度も行ったことがないか、どちらかだ」と呟いたという〉との新人賞を受賞した際の作家の評を紹介した。「俺の前でこれから書く原稿の話はするな」と言われたこともある。その理由は「いざ書くときに、嬉々として語っている今を超えられないから」。

2023-11-28

 ジョン・レノンの命日12月8日、札幌と福岡で開催される追悼コンサートでアイヌ民族のグループと歌手が、それぞれ初めてアイヌ語で歌う。札幌のことにパトスでは原田公久枝が率いる「Unit木の芽」が、丹菊逸治准教授の訳で歌う。福岡の住吉神社能楽殿では豊川容子が、夫が訳したイマジンを。

2023-11-27

 劇団四季の『リトルマーメイド』公演が26日、千秋楽を迎えた。5月28日から通算171回上演し、約13万2,000人が来場した。前回はコロナ禍で千秋楽前に中止されたため、特別アンコール公演とした。道新社会面。
 尾張徳川家19代当主である徳川義親ゆかりの八雲の木彫り熊やグッズが、名古屋の徳川美術館のミュージアムショップに並んでいる。開催中の企画展「尾張藩と木曽山―徳川義親のまなざし」に合わせて実現した。全日本合唱コンクールの大学職場一般の部で、混声合唱のTHE GOUGE(ザ・ガウジュ)が金賞、同声合唱のHBC少年少女合唱団シニアクラスが銅賞を受けた。いずれも朝日新聞北海道面。

2023-11-26

 東川在住のファイヤーダンサー滝口明李。火がついた棒「スタッフ」を振り回しながら踊る。苫小牧出身で、札幌で体験したファイヤーダンスを海外を旅しながら披露してきた。病と育児の苦労を抱えながら活動を続ける。道新《179の窓》。
 道新デジタルでは、記者とカメラマンが撮影した昭和初期以降の写真から、特集「記憶の光景」としてさまざまなテーマを設けて公開している。その一部を26日の紙面にも掲載した。貴重なアーカイヴと言える。

2023-11-25

 札幌座の斎藤歩と人形劇師の沢則行が、新作『カフカ経由 シスカ行き』を12月1日からシアターZOOで上演する。40年近い交友で、初めての(ほぼ)二人芝居。礼文島のアイヌ民族の物語、サハリンのウィルタ民族の伝説、チェコの民話などを織り交ぜた内容という。

2023-11-24

 知里幸恵の生涯を描いた映画『カムイのうた』が道内の映画館で23日に先行公開された。札幌出身の菅原浩志監督作品。製作には東川町が協力し、インドの映画祭での作品賞をはじめ、4ヶ国の映画祭で入賞した。道新社会面。カルチャー面には、和人による差別や迫害の歴史と、厳しくも美しい自然との対比、島田歌穂が歌うユカの美しさを称えつつ、「劇映画として考えるならば人物造形がやや一本調子で物足りない」との作品評も。

2023-11-23

 木古内町の佐女川神社の伝統行事「寒中みそぎ」と上ノ国にある室町時代の山城「勝山館跡」が、それぞれ道の無形民俗文化財(風俗慣習)、有形文化財(考古資料)に28日付で指定される。旭川では、戦時下に「生活図画事件」で逮捕・投獄された菱谷良一(102)が自伝『百年の探究―眞の自由と平和を思考し続けて』(自伝刊行委員会)を出版した。いずれも道新社会面。

2023-11-22

2023-11-21

 登別の「知里幸恵 銀のしずく記念館」前艦長の金崎重弥が、道新カルチャー面に寄稿。初代館長で幸恵の姪だった横山むつみから託されたのは「全国の人の寄付で建てたこの記念館をつぶすことはできない」と願いを託された。金崎館長は2016年10月から2022年5月まで在任。
 社会面に、北海学園大の池田真歩准教授の『首都の議会』(東京大学出版会)がサントリー学芸賞を思想・歴史部門で受賞したとの報。

2023-11-20

 道内の高校吹奏楽部の生徒と卒業生による演奏会「全開エール!!2023」が、札幌ドームで19日に開かれた。札幌国際情報高や札幌白石高など6校と一般チーム合わせて7団体が参加した。白老のしらおい創造空間「蔵」では、ペットボトルや釣り糸など海洋ごみを素材とする名古屋のグループ「ゴミンゾク」の公演が18日に開かれた。室蘭市民オーケストラは19日に市民会館で開かれた。

2023-11-19

 本郷新記念札幌彫刻美術館が、本館の煙突断熱材にアスベスト含有疑いの健在が使われていることがわかり、休館することになった。道新札幌版。
 利尻島出身で三省堂書店札幌店の工藤志昇(しのぶ)が、エッセー集『利尻島から流れ流れて本屋になった』を寿郎社から刊行した。島での思い出や書店員の日常をネットで発表してきた。土肥寿郎は「誰もが記憶の奥底にしまってしまうような感情をすくいとって、読者に示すのがうまい。だから共感できる」。全日本小学生バンドフェスで、北海道支部代表の美幌小・東陽小合同バンドと遠軽町立南小が金賞、遠軽東が銅賞。朝日新聞北海道面。

2023-11-18

 札幌市が来年度から5年間のアイヌ施策推進地域計画の素案をまとめた。アイヌ民族への理解を深め、差別や人権侵害の解消を目指す。アイヌ文化を学ぶバスツアーやパネル展、講座、エカシやフチの体験記録、アイヌ語由来の地名看板設置など11事業を計画している。道新札幌版。
 新千歳アニメ映画祭の振り返り。「物語性が豊かな作品群が目に付く中で、その表現方法の的確さ、斬新さが問われ、世界のアニメーションがいかにレベルアップしているか実感した5日間」 。サタデーどうしん。『愛は勝つ』やラジオの「アタックヤング」で人気だったKANが死去。61歳。

2023-11-17

 薩摩琵琶の正派・岳城流を継ぐ道内唯一の女性奏者、金子岳櫻(がくおう)を紹介する記事。39歳で思い立ち、岳城流の継承者山岸岳泉門下となった。道新社会面。
 ともに夕張出身の歌手で今年亡くなった大橋純子、ザ・リリーズのつばめ真由美の冥福を祈る献花台が、道の駅夕張メロードに設置された。道新札幌圏版。

2023-11-16

 釧路市在住の写真家長倉洋海がアマゾン流域の先住民族を撮影した写真の展覧会が、サンパウロで開催中。現地で先住民の復権を目指す運動家らが企画した。1993〜2004年の4回にわたる滞在で、ヤノマミ族、クリカチ族、シャバンテ族などを撮影した。日系ブラジル人の画家を顕彰する「大竹富江研究所」などが会場で、リオなどにも巡回する。道新カルチャー面。

2023-11-15

 シベリア抑留記録・文化賞(シベリア抑留者支援・記録センター主催)の功労賞に利尻町の吉田欣哉が選ばれた。終戦後4年間、沿海地方で抑留生活を送った。今年8月、道内外から寄付を集めて利尻島に慰霊碑を建てたことや、各地での講演活動が評価された。道新社会面。
 昭和50年代の帯広市中心部を再現したジオラマが、帯広市の児童会館で常設展示されている。音更町の個人が運営し、ファンには名物スポットだった私設鉄道博物館十勝晴駅」の閉館後、遺志を引き継いだかたち。移設に当たっては、十勝晴駅の常連だった4人が「クラフトワークス十勝晴ST」として活動している。朝日新聞北海道面。
 朝日新聞夕刊《ジェンダーを考える》は、女性ファンがジャニーズをめでる文化について2人が論じている。オーストラリアのマッコーリー大学日本研究所のトーマス・ボーディネット上席研究員の視点が興味深い。〈日本特有の要素があるとすれば、広告会社やメディアがジャニーズ事務所と強固なスクラムを作り、独占的な商売を許してきたこと。そして、(事件への対応について)国の関与がないこと〉〈男性が起こした加害事件について、ファンや女性が楽しんできた文化自体を攻めるのはミソジニー(女性嫌悪)の表れと言っていい〉

2023-11-14

 北海道新聞短歌賞・俳句賞の受賞者インタビュー。短歌賞本賞『エゾシカ/ジビエ』の石畑由紀子は、短歌の型について「感じてることを託せる器」、佳作の塚田千束は第1歌集『アスパラと潮騒』は「自分のここ数年の人生そのもの。日記みたいな感じなんです」。『羽のかろさ』で俳句賞本賞の名取光恵は「俳句によって私は自分を少しずつ取り戻していったのだと思います」、佳作『青丹斎日乗抄』の對馬埜臬(やげつ)は「即興性がありながら、時間の経過に耐えられる句を作っていきたい」。
 今年で設立35周年のNPO法人北海道国際音楽交流協会(ハイメス)は、16日に記念コンサートをKitaraで行う。若手音楽家の海外派遣を通じて、音楽レベル向上に寄与してきた。2005年にピアノ部門で最優秀賞を得たジャスミン・アラカワは現在、米フロリダ大音楽学部准教授。道新カルチャー面。
 道新札幌圏版は、恵庭の池田敏章が個人で収集してきた洋画家斎藤真一による「瞽女シリーズ」の講演会と映画上映を告知する記事。作品149点を新潟県上越市の小林古径記念美術館に寄贈し「瞽女ミュージアム高田」開設のきっかけになった。
 朝日新聞北海道面には、全国日本合唱コンクール小学校の部の記事。中標津・丸山・上春別が金賞・福岡市長賞を得た。

2023-11-13

 新聞は休刊日。
 北海道立近代美術館は設備修繕工事のため、この日から来年1月12日まで休館する。

2023-11-12

 夕張出身の歌手大橋純子が死去。北島三郎が「妹のよう」と語ったという見出しを見てから「享年73」に驚く。『たそがれマイ・ラブ』が1978年というから45年前の大ヒットだったのだ。

2023-11-11

 道新文化・エンタメ面。12月にhitaruバレエで上演される「くるみ割り人形」の「金平糖の精」役を射止めた帯広のバレリーナ佐々木麻菜のインタビュー。ロシア東シベリアのブリヤート共和国のバレエ団で修行してきたそう。ブリヤート国立オペラ・バレエ劇場の芸術監督岩田守弘から、先達ダンサーの踊りを勉強するよう勧められ、修練した結果、ファーストソリストに昇格した。〈回るのも跳ぶのも大事だけれど、それ以上に心や魂を伝えることが大切〉
 札幌の北八劇場を運営する一般財団法人田中記念劇場財団が、来年5月11日に開館することを発表した。柿落としは道内勢が主演する『あっちこっち佐藤さん』。芸術監督の納谷真大(まさとも)は言う。〈5ヵ年計画で創作と演劇人の育成に努めたい〉。道新社会面。現代の名工に道内からは、函館の中華料理人木村史能(ふみよし)が選ばれた記事も。

2023-11-10

 朝日新聞文化面。建て替えのため10月末でいったん閉場した国立劇場の現状をまとめている。当初は大規模改修を柱とする再整備方針だったが、2017年に成立した文化芸術基本法で、文化芸術と観光など他分野の連携を求められたことから「文化観光拠点としての機能強化」をうたい、建て替えの方針が定まったという。しかし、実際には大阪万博などで建設市場が活発化し、建設資機材の高騰や人手不足などで入札が成立していない。伝統芸能の維持発展に最も重要な運営方針ではなく、市場や経済の動向に縛られる現状は、文化・芸術全般についての危機と映る。

2023-11-09

 道新カルチャー面。来年4月に札幌交響楽団首席客演指揮者に就く下野竜也のインタビュー。〈急に何かをやるのではなく、素晴らしい伝統を引き継ぐ形で、これまで同様、札響のみなさんと一緒にいい演奏ができればと思います〉と謙虚な言い方をしているが、ぜひ「何か」に期待したい。
 社会面。平取町二風谷地区のアイヌ文化の伝承活動を紹介する展覧会が、16日からジャパン・ハウス・ロンドンで開催される。アイヌ紋様が施されたイタ(盆)、マキリ(短刀)などの工芸品、アイヌ文化継承者のインタビュー映像など。イベントも行う。平取は明治・昭和期に英国から人類学者が訪れ、関わりがある。

2023-11-08

 道新社会面。建築家安藤忠雄が設計し、費用も負担する子供向けの「こども本の森」を北大南門近くに建設すると、北大が発表した。2026年の開設を目指す。蔵書は2〜3万冊。安藤は大阪、岩手・遠野、神戸、熊本、松山にも同様の施設を開設する。安藤は〈木とともに生きる図書館をつくりたい〉。韓国の俳優やアーティストが出演する音楽イベント「モンダンヨンピルコンサート」が19日に札幌の共済ホールで開かれる。北海道朝鮮初中高級学校をはじめ全国の朝鮮学校に通う生徒を支援しようと韓国の市民団体が企画した。

2023-11-07

 道新カルチャー面は、北海道新聞文学賞の受賞者インタビューを掲載。創作・評論部門本賞の原雪絵(『さち子の行方』)は、こだわりのテーマとして「他者を分かりきることはできない」を挙げる。詩部門本賞の故永しほるは〈違和感ある一行が思いつけたら最高〉」。詩部門佳作の若宮明彦は〈『詩の天使』が舞い降り、詩句が浮かぶ瞬間が幸せ〉。

2023-11-06

2023-11-05

 道新の《支局長だより》は深川の演劇について。深川市民劇団の演出と脚本を担当してきた画家の渡辺貞之が演出を「卒業」した。新しい動きとして「劇団シンゲキ」が10月に旗揚げがある。かつて市内に6団体あった劇団が現在4団体だが、「深川の演劇のともしびは消えそうにない」と結ぶ。佐藤大吾支局長。

2023-11-04

 作家の桜木紫乃が、岡山の人気写真家中川正子と組んでフォトストーリー『彼女たち』をKADOKAWAから出した。制作の過程で、初稿は中川から「(文に)『桜木紫乃』がもっとほしい」とダメ出しをされ、書き直したとのこと。デザインは札幌大同印刷岡田善敬。「チームプレーっていいな」と桜木。札幌の共同文化社が刊行した寺田吉孝安田範彦訳M.M.ドブロトヴォールスキィのアイヌ語・ロシア語辞典』が、日本翻訳出版文化賞に選ばれた。水声社とのダブル受賞。いずれも道新のサタデーどうしん。

2023-11-03

 道新札幌版。札幌芸術賞に北海道演劇財団理事長の齋藤歩、陶芸家の下沢敏也、美術家の艾沢詳子。文化奨励賞はピアニストの鎌倉亮太、彫刻家の国松希根太、メディアアーティストの小町谷圭
 社会面には「新語・流行語大賞」の発表。アーバンベアは全国的な傾向だが、オソ18の名前が全国にとどろいていたとは。新千歳空港国際アニメーション映画祭が2日に開幕。
 朝日新聞朝刊文化面。国立国会図書館がデジタルシフトに力を入れているとの記事。インターネットで資料を公開するのは今に始まったことではないし、著作権者の了解を得ていないため非公開の資料は多いから、急速に舵を切った印象はないが、徐々に便利さが実感できるようになるのだろうか。

2023-11-02

 道新カルチャー面の円城塔エッセイ《西の国から》。温暖化の末路として「北海道以外全部沈没」ということを考えてしまうと述べている。併せて「Uターン」も真面目に検討していると。同じ紙面で、作家の京極夏彦は〈最近は、多様化だとか持続可能のようなありかたを推奨しているわりに、ものごとを二極分化してとらえる傾向にあるように思います〉〈考え方が違う同士が認め合う、認め合う努力をすることが多様化ということなのでしょうし、それを怠るなら争いになるだけで、行き着くところ戦争のような愚行にも発展するのではないでしょうか。〉

2023-11-01

 道新社会面に、2024年のPMFの概要。首席指揮者はピッツバーグ交響楽団の音楽監督マンフレート・ホーネック。客演指揮者にはハイデルベルク・フィル音楽監督のエリアス・グランディ。札響の次期首席指揮者をPMFに迎えたことは、大いなる一歩となるか。
 朝日新聞社会面では、イスラエル・フィルの来日公演中止の報。中国公演も中止とのこと。

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